ある土産物屋のセールストーク

From:昌子 幹

先日、北海道に行った時のこと。

せっかくだから、カニでも買っていこうと
帰りに市場に立ち寄りました。

そこには、ズラーっと土産物向けの
魚屋さんが軒を連ねていたのですが、
正直、どこのカニも似たように見えます。

どうしようかと迷っていると
ある店のカニの値札に
「解凍ではありません」
と書いてありました。

「え?てか、他は冷凍してるの?地元なのに?」

と訝しく思っていると
それを見透かしたように
その店のおじさんは言いました。

「この辺で出回ってるのはほとんどが
冷凍したのを解凍してるんだけど
やっぱり味が落ちるよね。
うちのは冷凍してないからうまいよ」

ならば、ということでその場で買ったのですが、
セールスライティングでもこれは重要ですよね。

特に、他に似たような商品がたくさんある場合は
まず他との違いを伝えて
その違いから生まれるベネフィットを
伝えるのが基本ですが、
おじさんはそれをしっかりやっていたわけです。

ひょっとしたら、
他の店にも冷凍していないカニが
あったのかもしれませんが
少なくとも「解凍ではありません」と
明確に打ち出しているのはそこだけでした。

しかも、おじさんはそこで終わりません。

「イクラもどう?一緒に買ってくれたら安くしとくよ」

とクロスセルを仕掛けてきたのです。

「まあ、せっかく北海道まで来たしな」
ということで、おじさんの仕掛けに乗り
結局、カニとイクラとイカの塩辛を
買うことにしました。

「もう、これで十分やろ」
と思っているところに
追い打ちをかけるように
おじさんは言いました。

「箱があった方がいいよね。
有料だけど付けとく?」

まあ、箱代なんてたかが知れてると思い
付けてもらったんですが、
会計の金額が思ったより高い。

「?」と思ってレシートを見ると
なんと発泡スチロールの小さな箱が
400円もしているではないですか。

今さら箱を開けて返品するわけにもいかず、
渋々お金を支払ったのですが
おじさんのセールス力には舌を巻きました。

というか、僕がカモられやすいだけなのか。

まあ、そんなこんなで
帰ってきてから早速カニを食べたのですが
味はいたってフツー。

「セールスはうまかったんだけどな…」
と思わずつぶやいていました。

それでは、また。

 

昌子 幹

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