「デッドライン」という名の魔法

From: 昌子 幹

「特に急いでないんで
いつでもいいですよー」

クライアントと納期について話していると
時々、そう言われることがある。

もしあなたがそんな言葉に出会ったら
決して喜んではいけない。

それどころか、警戒心を
マックスにしなければならない。

そして、勇気を振り絞って
こう言わなければならない。

「あいにく私は締め切りのない
仕事はしないことにしているので」
と、、、

なぜなら、デッドラインのない仕事は
地獄のロードの始まりだからだ…

正直に言うと、起業して最初の頃は
締め切りのない案件に喜んだものだ。

なぜなら、ほとんどの案件は
急ぎの場合が多いからだ。

「2週間後にはリリースしたいんです」
などと言われた日には、

「だったら、なんでもっと早く
言ってくれないのか?」
と心の中で毒づいたもんである。

とはいえ、起業したばかりで
売上も不安定な時に
せっかく頂いた案件を断れるほど
私のハートは強くできてはいない。

「任せてください!」
と大見栄切って引き受けて
後で後悔したこともしばしば。

徹夜しようが何をしようが
やるしかないのである。

しかも、そこに他の案件が
重なろうものなら、
もはや地獄である。

ふと夜中に目が覚めて
冷や汗をかいたことも
一度や二度ではない。

かつて、原稿を大量に落とした
藤子不二雄の気持ちが
その時初めてわかった気がした。
(詳しくは「まんが道」をどうぞ)

が、どんなに厳しいと
思っていた納期であっても
特別な場合を除いて
だいたい間に合ってしまうから
不思議なものである。

そして、何より、、、

本当の地獄は締め切りに
追われることではない。

本当の地獄は
デッドラインのない仕事を
引き受けた時に始まる。

とわかったのは最近のことである。

デッドラインのない仕事は
あなたから時間も情熱もお金も
すべてを奪い去る吸血鬼なのだ。

まず、なかなか取り掛からない。
急ぎの案件をどうしても
優先してしまうからだ。

そして、取り掛かったとしても
なかなか仕事が進まない。

「もっといいアイデアが
見つかるんじゃないか?」
などと期待して必要以上に時間をかけるが、
それで見つかったことはまずない。

ネットでリサーチしているつもりが
いつの間にかネットサーフィンに
なっていたことも少なくない。

ようやくドラフトが出来上がって
クライアントに提出しても
今度はしばらく音沙汰がない。

そして、忘れた頃に連絡が来て
「ここもう少しこうして欲しいんですけど」
といったリクエストが来る。

修正しようと思うが、
正直、どんな内容だったか
詳しく覚えていない。

なので、もう一度リサーチ結果から
見直したりすることになる。

そして、再度提出するが
またしばらく連絡がない。

最悪の場合、これがエンドレスで続く。

なかなか納品が完了しないので、
入金も遅れる。

しかも、未完了の仕事が
頭の片隅に居座り続けるので
精神的にもよろしくない。

はっきり言って、何もいいことがない。
というより、悪いことしかないのだ。

では、どうすればいいか?

言うまでもない。

すべての仕事にデッドラインを設けることだ。

たとえ、クライアントに
いつでもいいと言われても、
最終ゴールを設定しよう。

そして、そのゴールを達成するための
小さなゴールを設定しよう。
自分にもクライアントにもだ。

例えば、

セールスレター初稿提出
クライアントからのフィードバック
修正
デザイン
コーディング
リリース
などなど、、、

すべてにデッドラインを設定するのだ。

そうすれば、あなたもクライアントも
自動的にゴールに向けて導かれる。

というか、やらざるを得ない状況に
あなたを追い込んでくれる。

そして、実現に導いてくれる。

ジョン・カールトンが言う通り
デッドラインはまるで魔法なのだ。

それがどんなことでも
達成できない最大の理由は
いつだってデッドラインが
ないことなのだ。

「もっと時間があればできるのに」
と多くの人は言うが、
それは幻想に過ぎない。

時間があると逆にやらないのが
人間の悲しい性だ。

もちろん、最初から実現不可能な
デッドラインを設定しては意味がないし、
ある程度バッファーは取っておくべきだろう。

しかし、バッファーを取りすぎると
それはデッドラインがないのと
同じことを意味する。

いずれにせよ、すべてのことに
正しくデッドラインを設定しよう。

そして、やらざるを得ない
状況に自分を追い込もう。

そうすれば、あなたは
自分が思っているよりも
はるかに多くのことを
成し遂げることができるはずだ。

ま、自分に対して
言ってるんですけどね、、、

それでは、また。

昌子 幹

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