from 成澤将士
先日、取引先の役員の方と初めて会ったときのこと。
その人とは仕事上のやりとりは何度かしたことがあったけど、九州の会社の人だったのでいつもやり取りはオンライン上。
先方から、「東京に行く用事ができたので、せっかくなので挨拶したい」との事で、初めて会うことに。
名刺交換をしながら挨拶をした直後。
相手から思いがけない一言が出た。
「成澤さん、もしかしてその服、トルネードマートですか?」
トルネードマートは服のブランドの名前なんだけど、きっと知らない人の方が多いと思う。
ちなみにこのブランドは全国21店舗あり、その多くがパルコやマルイなどの商業ビルに入っている。
僕は元々ファッションセンスが皆無の人だから、もちろんこのブランドは知らなかった。
でもある時、講師やコンサルなど人前に立つ仕事が多くなってきて服装をどうにかしなきゃいけないなって思ったことがあって、プロにコーディネートを依頼した時に「ここは成澤さんに合うと思いますよ」って紹介してくれたのがこのブランド。
独特のデザインやコンセプトの服が多くて、ちょうどそれが自分の好みと合致した事と、着やすさなど機能性の高さなども相まって、それ以来僕が外向けに着る服はこのブランドが多い。
でも言ってしまえば着る人を選ぶちょっとマニアックなブランドだから、僕も周りで着ている人を見た事がないし、会った人に「成澤さんむっちゃオシャレですね!それどこのブランドですか?」って聞かれて説明しても、相手がブランド名を知っていた事もない。
まあそんな背景があったので、冒頭のようにズバッと当てられたのは初めてだったし、もう本当にビックリ。
話を聞いたらその人もそのブランドが好きらしくて、独特のデザインからピンときたそう。
そのあとはしばらくこのブランドの話で盛り上がって、そこからそれぞれの生い立ちとか仕事の話とか色々話して、最終的に業務提携を結ぶ事になった。
人って、「理解されている」って思うと、凄くうれしくなるし、その人に好意を抱きやすくなるよね。
そして、「自分の事を理解してくれているこの人が言う事なら、きっと間違いない」って思い込みやすくなるんだよね。
そう、占い師さんやモテる人がよく使う「共感」のテクニック。
この「共感」が冒頭にあると、その後の会話やセールスが格段にスムーズになる。
だからライティングでも「ラポール(共感)」はむっちゃ大事って言われるよね。
そしてこのテクニックは、仕事を取るうえでも大きな力を発揮する。
ちなみに僕の会社では、初めて相談をくれたクライアント候補の人と初回面談をするまでに、どんな商品を扱っているのか、どんな競合がいるのか、どんな理念の会社なのかとか、社長はどんな人なのか、場合によっては社長のSNSまで見るし、まあ他にも色々事前に調べる。
これはある意味「共感」できるポイントを探すためにやっていること。
そういった下準備があれば、共感から入ることができるから会話も盛り上がるし、相手に対する理解もあるから提案の質も上がるし、結果成約率も上がるしで、まさに良いことづくめ。
「彼を知り、己を知れば、百戦殆(あや)うからず」
孫氏の有名な兵法だけど、これは今の時代でもまんま使えるし、クライアント候補に対する提案なんて、もうこれが全てみたいなところがあると思う。
やっぱりね、人を動かすには事前のリサーチが大事ってことですよ。
リサーチ大事。何回この終わり方するんだろ(笑)