起業してから一番の失敗談

from 成澤将士

それに気づいた時、僕は顔面蒼白になった。
取り返しのつかないことをしてしまった・・・
ヤバい、本当にどうしよう・・・

周りは口にこそ出さないが、
冷たい目で僕を見ている。

どう責任取るんだよ?
そう言わんばかりの視線が痛い・・・

それは5年前の6月の話。

僕は、ある交流会で知り合った
会社のチラシを作ることになった。

その会社は、代理店を日本中に
1万店近く持つ、その分野では
3本の指に入る企業。

その会社がやっている事業で、
集客が思わしくないものがあった。

ビジネスモデルは、

新聞に折り込みチラシを入れて、
公民館などで開催する展示会に来てもらい、
見込み客に商品を試してもらい、
気に入ったら買ってもらう。

というオーソドックスなものだった。

ただ、現地スタッフが2名しかいないので
完全電話予約制。

商品は、最大手の競合とほぼ同じ品質。
でも価格は競合の半分以下。

過去のチラシはお世辞にも良い出来とは言えない。
毎回5名来れば上出来というのも納得だった。

僕は確信した。

これはちゃんとチラシを作れば売れるだろう。
少なくとも今までのチラシよりは絶対売れる。

社長はじめ役員、営業担当さんなど
大勢が同席の打合せは終始和やかな雰囲気。

さすが先生はマーケティング詳しいですね。
なんて言われて嬉しかったのを覚えている。

さらに、これが上手く行けば、
この会社の本業のプロモーションを丸ごと
任せてもらえる確約を得た。

駆け出しの僕は未来を想像して有頂天だった。

ただこの案件、
印刷入稿の関係で〆切がタイトだった。

僕は焦りながら何とかチラシを仕上げた。
出来上がったのは入稿日の早朝。

今日を逃すと新聞屋さんにチラシを送る
デットラインを過ぎてしまう。

何とかクライアント確認でOKが出て、
無事入稿完了。
これで折り込みには間に合う。

僕はやりきったという充実感と、
この先を想像してテンションが上がりまくり。

そして展示会が終わり、翌日の朝。

クライアントから一本の電話。

きっと昨日の報告だろう。
一体何人来たんだろう。

そんなワクワクで電話に出た。

受話器の向こうの
社長の声のトーンがおかしい。

「昨日、一人も来ませんでしたよ・・・」

僕の血の気がサーっと引いていく。

おかしい、リサーチもちゃんとやった。
出来自体も決して悪くなかった。

というか正直ちょっと自信があった。

自分の未来もかかってたし、
入魂の一作といっても過言ではない。

原因が何なのか分からない。

僕はもうむっちゃテンパってる。

混乱した頭のまま、
その日の他の予定をキャンセルして
すぐさまクライアントの会社に向かった。

場所は前回の打合せと同じ会議室。

あの和やかな雰囲気と同じ場所、
同じメンバーとは思えないほど、
静かな殺気が立ち込める恐怖の空間。

僕はすでに全身に脂汗をかいているいる。
きっと僕が小型犬だったら失禁してただろう。

それぐらいの恐怖だった。

挨拶と謝罪もそこそこに、
全員の前で今回のチラシのコンセプトを
再度説明し、チラシの各所を指差しながら
その意図を説明していく。

説明という名の弁解が進んでいく。

「このように、フリーダイヤルの
番号を大きくすることで、
見込み客の視認性を上げ・・・・」

あれ?

なんかおかしい。

0120-○○○―○○

!!!!!!

足りない!!

フリーダイヤルの桁が一つない!!

ここで僕はやっと痛恨のミスに気付いた。

なんたる凡ミス・・・

間違いなくこれが原因だ。

電話による完全予約制なのに、
その電話番号が違うのだ。

っていうか納品前に確認したのに何で?

そのあとはもう謝りまくり。

その後、印刷代や折り込み代など
実際に掛かった経費は僕が返済することで、
なんとか許してもらえた。

報酬は当然なし。
手付で貰った分も返した。

そして、このクライアントとの関係は終わった。

当時の僕は駆け出しでお金がなかった。
だから、この時は本当に参った。

そして何より、クライアントに
申し訳ない事をしたという
気持ちでいっぱいだった。

僕を信じて任せてくれたのに、、、
アホな自分に腹が立ったし、
本当に情けない気持ちだった。

家に帰り冷静に見直したら、
原稿作成の途中で間違って
桁を1つ消してしまったらしい。

作り上げた達成感に包まれたまま
行った見直しは、まったく意味を
なしていなかった。

僕らの業界ではよく、

「編集やチェックは翌日落ち着いてやろう」

なんて言われるけど、この時ほど
その重要性を痛感したことはない。

一番大事な所を人任せにしてはいけない。

クライアントもチェックしてくれたし
これで大丈夫だろう。

なんてことは考えない方が良い。

僕はこの失敗以降、
どれだけ忙しくても、
必ず翌日に落ち着いて
原稿のチェックをするようになった。

もし自分の作った広告が良い出来だと
思ったのなら、そのまま完了させるのは
ちょっと待った方が良い。

僕みたいなアホな失敗をしないためにも。

書き上がりのおかしなテンションや、
疲れ切って集中力が落ちている状態での
見直しは絶対しないことを強くおススメする。

クライアントの為にも、
自分のためにも。

自戒の念をこめて。

PS、コメント頂けると励みになります!
感想、質問、なんでも大歓迎です!
↓↓ メッセージはこちらから ↓↓
info@jmwa.org