From:昌子 幹
最近はやっていないようなのですが、
少し前によく観ていたテレビ番組があります。
名前を変えただけで爆売れした商品を取り上げて
その商品名を当てるというクイズ番組(?)なのですが、
つい一緒に考えてしまうんですね。
例えば、、、
・羊のいらない枕(枕)
・ほぼカニ(カニかまぼこ)
・食べられる緩衝材(ポップコーン)
・秘密を守りきります(ハサミ型シュレッダー)
・お嬢サバ(養殖の鯖)
などなど、名前を変えただけで
全然売れなかった商品が何十倍、
何百倍も売れたというのですから
やはりネーミングはバカにできません。
と言うより、コピーより
重要だと思うくらいです。
僕もクライアントのコピーを書くときに
ついでに商品名を考えることもあるんですが、
本来であれば「ついで」でできるような
仕事ではありません。。
だって、商品名だけで
何十万円とか何百万円の報酬を
請求する会社だってあるんですよ。
ただ、コピーを書いてると
商品名って作りやすいのは確かです。
なぜなら、必要な要素が
ほとんど一緒だから。
僕が考える売れるネーミングの要素は
・独自性
・ベネフィット
の2つです。
コンセプトやヘッドラインで
必要となる要素とほぼ同じですし、
この組み合わせだけでも
そこそこいい商品名が作れます。
ただし、、、
これにさらにもう一捻り加えることで
ネーミングは一気にパワフルになります。
それが「置換」とか「変質化」
と呼ばれるテクニックで
海外の著名コピーライターは
結構好んで使っています。
(英語を直訳しているので
これ自体は微妙なネーミングですが。。)
簡単に言うと、ある商品を、
それと同じ特徴を持つ別の
魅力的な何かに置き換える
というテクニックです。
例えば、「羊のいらない枕」は
「すぐに眠りにつける」というベネフィットを
「羊を数える間もなく眠りにつける」
という表現に置き換えたことで
ベネフィットがより際立っていますし、
「食べられる緩衝材」は
ポップコーンの見た目の特徴を
緩衝材に置き換えたことで
意外性や驚きが生まれていますし、
「お嬢サバ」は
大切に育てられたというプロセスを
お嬢様に置き換えたことで
高級感がより引き立っています。
なぜ、この置換テクニックが
そんなにパワフルかと言うと、
人間の脳には「無条件処理」という
機能が備わっているからです。
世の中には情報が溢れていますが
それらを一つ一つ全て処理していたら
脳はパンクしてしまいます。
そこで脳は、
ある情報を見たり聞いたりした時に
「今までに見たことがある」と感じると、
無条件でその情報を
既存のカテゴリーに入れてしまって
それ以上注意を払わなくて済む
状態にするわけです。
要は、脳が楽をしたいわけですが、
言うまでもなく、この無条件処理機能は
広告にとっては大敵です。
そこで、置換テクニックを使って
別の何かに置き換えることで
既存のカテゴリーに入れられることなく
相手の注意を引きやすくなるのです。
まあ、確かに簡単な
テクニックではないのですが
これがハマると
冒頭で紹介した商品のように
爆売れする可能性は一気に高まります。
なので、もしあなたも
ネーミングを考える機会があるなら
ぜひ挑戦してみることをおすすめします。
それでは、また。
昌子 幹