from 成澤将士
僕の住んでいる千葉県には、1つだけ村がある。
その村の名前は「長生(ちょうせい)村」
千葉県人には、「チーバ君の背中のあたり」って言えば一瞬で伝わるんだけど、
チーバ君を知らない人には、千葉県東部、九十九里浜のあたりにある村だと説明しよう。
この長生村は、周りには海と自然以外、特に何か観光地や施設があるわけでもない、潮風薫るのどかな場所。
そんなのどかな長生村、実は2年連続でふるさと納税額が千葉県内1位。
しかも村内の税収の約半数がふるさと納税だという。
ということは、何か凄い豪華な返礼品なのかと思いきや、農産物や海産物など魅力的な商品は多いものの、むしろ周辺の自治体の方が返礼品は豪華だったりする。
では、どっかの自治体みたいにギフト券とかを配っているのかというと、そういうわけでもない。
それなのに、納税額が1位。
しかも、7割近い人が再び長生村へふるさと納税をするという。
いったい何が理由なのか?
それは、たった一つだけ、他の自治体ではやっていないことをやっているから。
あなたは、何だと思う?
それは、、、、
「村長からのお礼の電話」
意外に思うかもしれないが、これが人気の秘密のようだ。
5万円以上寄付してくれた人には、村長が直電で、丁寧にお礼を言うそう。
しかもその際に、ちゃんと相手の情報もインプットして、その人に合わせた話をするんだそう。
これに感激して、また翌年もリピートしたり、口コミで広まったりしているらしい。
ちなみに19年度は1480人に電話したというから、村長さんには結構大変なお仕事だろう。
僕はこの話を聞いたとき、やっぱりUSPって大事だなって思った。
USPは、ユニーク・セリング・プロポジションの略。
分かりやすく言えば、「独自性」のこと。
このUSPを明確に打ち出したことで、一気に伸びた企業は数多い。
USPを作るときに、やり方は色々あるんだけど、一番手っ取り早いのは、
「競合のやっていない事をやる」ってこと。
ふるさと納税で考えれば、
日本津々浦々、どこにだって美味しい食べ物はあるし、商品で差別化を図るのって難しい。
でも、どこもやっていない「首長からの電話」という商品は、その他大勢の競合商品とは「明確な違い」がある。
だから選ばれ、口コミで広がっていく。
ちなみに村長さんがこの直電を始める前の年のふるさと納税額は、わずか14万円。
そこからたった5年、昨年のふるさと納税額はなんと8億円近い。
たった一人で8億円を生み出した村長、もはやこの英雄に村長選で勝てる人はいないだろう。
無投票で再選というのも納得。
ということで、もしあなたが売ろうとしている商品が、競合との差別化が難しいのであれば、
村長さんのように、ちょっと違う視点でUSPを探してみてはどうだろうか?
もしかしたら、競合をぶち抜くようなUSPが見つかるかもしれない。