お笑い芸人とライターの意外な共通点

from 成澤将士

僕はお笑いが好きで色々見たりするんだけど、ちょっと前にテレビでお笑いライブのネタをどうやって決めているか?という話があった。

そこで非常に興味深い話があったので、今日はその話をしようと思う。

 

一般的に、お笑いライブのネタは、事前に「これをやる」と決めているそう。

例えば、新作ネタをやって観客のリアクションを確認するとか、ウケのいい鉄板のネタをローテーションするとか、持ち時間に合わせてチョイスとか、それぞれやり方があるようだった。

 

その中で、異質を放ち、同じお笑い芸人たちを驚かせたコンビが2つあった。

 

1つは、お笑いコンビのNON STYLE。

M-1グランプリ2008王者で、女子中高生の好きな芸人ランキングではいつも上位にランクインしている、実力も人気もあるコンビ。

 

このコンビのネタを考えているのは白スーツでおなじみの石田さんだそう。

ところが、ライブでどのネタをやるのかの決定権は、相方の井上さんが握っているそうだ。

しかも、何をやるのかは当日の観客を見てから決めるという。

 

ちなみにネタ決めの基準は、この客層には何をやったらウケるか、どんなネタだったら喜んでくれるか、出番までの他の芸人のどんなネタがウケていたかなど、観客目線で決めるとのこと。

以前はネタを作った石田さんが演目を決めていたらしいが、ネタへの思い入れが強くて、「これがやりたい」と思ってやった渾身のネタでも、当日の客層に合わなくていまいちウケなかったことが度々あったらしい。

 

そこで、そういった「作り手側」のこだわりをなくして「客観的に判断できる」井上さんが演目を決めるようにしたそうだ。

この「当日決める」というスタイルが他の芸人さんにはなかなか真似ができないことらしく、一様に驚いていた。

 

 

そしてさらに他の芸人さんたちを驚かせていたのが、中川家の2人。

M-1グランプリ初代チャンピオンの兄弟コンビでどちらも芸達者の実力派。

 

なんとこの2人は、舞台に上がる時は、話の入りの掴みと、終わりの落ちだけ決めて、後は全て観客のリアクションを見ながら話の流れを変え臨機応変に対応していく、つまり全てアドリブなんだという。

これはどちらも芸達者であり兄弟の阿吽の呼吸がなせる神業だろうし、しゃべくり漫才というスタイルだからこそできることかもしれない。

 

この2組の共通点は「観客を見て何をやるか決めている」ということ。

実はこれって、ライターにも必要なものだったりする。

 

僕らは、ペルソナを決めて、たった一人のその人に向かって書くよね?

それはつまり「どうやったらペルソナに刺さるか?」がすべてであり、自分が「どう書きたいか?」という「書き手側のエゴ」はぶっちゃけ必要ないんだよね。

 

多くのセールスレターの添削をしていて感じるのは、特に初心者はこのエゴが強いということ。

自分の思い込みや主義主張を書きたいがために、読み手側のことは置いてけぼりな一方的なレターになりがちなんだよね。

んで、そういったレターの多くは、リサーチが浅くて内容が薄かったり、誰に向かって書いているか良く分からない「ペルソナ失踪事件」が起きたりする。

 

僕らの仕事は「クリエイティブ」ではなく「コネクティブ」でなくていけない。

作家のように何かを「創造する」のではなく、商品と見込み客を「繋ぐこと」が、この仕事の本質なんだよね。

 

そう、僕らは「自分が書きたいものをそのまま書いちゃダメ」なのだ。

だから「腕を見せつけてやる」って気持ちも邪念でしかないし、どれだけ文章的なテクニックがあろうと、ペルソナに刺さらなければ、それはまったく何の意味もなさない。

 

どうやったら相手に伝わるか?

そういう「相手に寄り添う気持ち」みたいなものが根底にあれば、きっと良いレターが書けると思うんだよね。

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