From:吉田知也
「ガチャガチャ」好きですか?
あの、小さいおもちゃが入っていて
100円とか200円で
ダイヤルを回して取る、あれです。
ショッピングモールなどに行くと
ずらーっと並んだりしてますよね。
ぼくはあまり興味がないのですが
うちの奥さんが好きなので
時々ついて行ったりします。
「全5種」とかあって、
そのうちの欲しい1種類を
ゲットするために
コインを入れ始めるわけですよ。
すると、狙っているものが
なかなか出なくて、
気づけば何回も何回も
トライしてしまっている……
よくある光景です。
こういうの、1、2回で
やめておけばいいのに、
いざやめようと思うと
「ここであきらめたら、
ここまでにつぎ込んだ
お金が無駄になってしまう」
っていう気持ちが強くなって
止めたいのに止められなく
なってしまうような経験、
あなたにもありませんか?
今日は、この心理効果のお話。
これ、ちゃんと名前がついています。
「サンクコスト効果」と言います。
「埋もれた費用」という意味です。
このまま投資を続けても
損失が膨らむことが明らかなのに、
これまでの投資を惜しんでしまい
やめられない、という状態を言います。
このサンクコスト効果、
もっと分かりやすい別名があります。
「コンコルド効果」と言います。
飛行機のコンコルド、ありますよね。
超音速で飛ぶ旅客機です。
あれ、導入のかなり早い段階で
赤字になることが
分かってたんですって。
でも、ここでやめたら
ここまでにかけた
お金が無駄になるからと
結局30年近くもの間
赤字を垂れ流し続けながら
営業をしていたんだそう。
(ちなみに2003年で終了しました)
これに由来して、
このサンクコスト効果のことを
「コンコルド効果」と呼んでます。
せつないですね(笑)
この記事でも
コンコルドに敬意を表して、
「コンコルド効果」と呼びます。
さて、身近にも
「コンコルド効果」に
陥ってしまう例は
たくさんあります。
たとえばパチンコや競馬など、
ギャンブルなんかがそうです。
「今やめたら、ここまでに
注ぎ込んだお金が
無駄になってしまう」と、
一発逆転なんてそうそうないのに
ついお金を注ぎ込んでしまう、
みたいな感じに
なってしまう人がいます。
冒頭のガチャガチャも
まさにそうですね。
何が出るか分からないって
一種のギャンブルですもんね。
コンコルドの例もそうですが
事業や投資なんかでも
こういう気持ちに
陥ることがあります。
損が出ることが確定しているのに
ここまでのことを考えると
止めるに止められない、みたいなね。
このコンコルド効果に
陥らないためには、
消費者の側としては、
「しっかり損切りする」
「限度を決める」
などといった対策が大事ですが……
一方、ビジネスを提供する側の
視点から見た時に、
あまりエグいものはダメですが
ある程度、このコンコルド効果が
効くように初期投資をしてもらうことが
お客さんの継続率アップにつながります。
たとえば、塾や講座などで
ある程度入会金を大きめにしておくと
買った側にこのコンコルド効果が生まれ
「ここでやめると入会金が無駄になる」と
継続率が上がります。
また、月会費制のサービスで
「今やめると全てのコンテンツが
見られなくなりますが、
よろしいですか?」
みたいなこと聞いてくるの、
あるじゃないですか。
あれもコンコルド効果を
狙っています。
「せっかくここまで
月会費を支払ってきたし
せめてちゃんと見てから
やめよう」みたいな
気持ちになること、ありますよね。
消費者としては
賢く止められるように、
サービス提供側としては
あくまでお客さんの迷惑に
ならない範囲は守りながら
継続率をあげられるように、
コンコルド効果についての
認識をしっかり持っておきましょう。