ベストセラー作家に学ぶ売れるコピーの作り方

From:昌子 幹

たまにこのメルマガでも
ネタに使わせてもらうことがありますが、
僕は東野圭吾の小説が好きで
彼の小説はほぼ持っています。

で、それらを読んでいて
以前ふと気づいたことがあります。

それは、ある時点から
小説の書き方が全く変わった
ということです。

そして、面白いことに
その時点から彼は売れない作家から
ベストセラー作家に大躍進したのです。

いったい、彼の小説に
どんな変化があったのか?

それは、
人間を描くようになった
ということです。

もちろん、彼は今も昔も
ミステリー作家には変わりないのですが、

初期の作品を読むと
ザ・ミステリーというか
トリックの謎解きを中心に
すごくロジカルに
話が展開していくんですね。

そのロジックはとても緻密で
それはそれで面白いんですが
ただそれだけと言えばそれだけなのです。

ところが、
「秘密」という作品あたりから
そこに登場人物の人間臭さが加わり
人間ドラマとしてとても面白くなって
いったのです。

このことについては彼自身
意図してそうしたらしく
ある本の中でこう語っています。

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トリック、意外な動機、意外な犯人、
デビュー後の数年間は
そんなことばかり考えていた。

もちろん高評価を得る
作品の傾向に気づいていたから、
自分なりに「人間を描く」努力はした。

しかしそれはあくまでも、
ストーリーに説得力を持たせるための
工夫に過ぎなかった。

そして、そのストーリーは、
トリックを生かすために
考え出されたものだった。

論理的に矛盾がないということが、
小説を書く上で最も気をつけた点だった。

詰め将棋のような小説を書いて、
どんなもんだといい気になっていた。

そうした私の作品を、
一部の読者は好意的に受け入れてくれた。

だた私は知らなかった。

彼等は私の小説に感心はしても、
感動は全くしていなかったのだ。
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『たぶん最後の御挨拶』
(東野圭吾著・文藝春秋刊)より引用

これを読んで僕は思いました。

セールスコピーライターも同じだな、と。

もちろん、セールスコピーの目的は
お客さんを集めたり
商品を売ることであり
感動させることではありません。

が、しかし、
読み手の感情を動かすという点では
同じなのです。

ところが、ややもすると
セールスコピーライターは
ロジックやテクニックに
走りがちです。

そして、その結果出来上がるのが
屁理屈をこねただけの押し付けがましい
ただのセールストークです。

言っていることに納得はするけど
感情は動かされない、というやつです。

そんなセールスレターが
売れるわけがありません。

そりゃ、そうです。

そもそも人間ほど矛盾に
満ちた存在はいません。

理屈やロジックだけで説得できるくらいなら
世の中はもっと平和になっているはずです。

でも、そうはならない。

なぜなら、人間には
ロジックでは説明できない
矛盾に満ちた感情があるからです。

その矛盾した感情があるから
相手の言っていることに
理屈では納得はできても
心では納得できないのです。

「商品を売りたいなら相手の感情を動かせ」

とはよく言われることですが
それがなかなか難しいのも事実。

だって、矛盾してるんだもん。。

でも、だからこそ、どこまで行っても
お客さんのことを理解しようとする努力が
セールスコピーライターには必要なのかなと
東野圭吾さんの言葉を思い出すたびに
改めて思う次第です。

それでは、また。

 

昌子 幹

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