思い込みって怖いよね

from 成澤将士

それは3月のある日の事。

数日前から曇りや雨で寒い日が続いていたけど、その日は久しぶりに雲一つない青空が広がるポカポカ陽気。

なんだか心まで晴れやかになった気分で、こんな日はゴルフに行くには最高の日だなあなんて思っていた。

でも一人でゴルフに行っても楽しくないし、そもそもその日は初めて会う人との打ち合わせがあったんだよね。

とはいえワクワクしちゃうようなこの陽気はもったいないから、打ち合わせが終わったら散歩にでも行こうかな、なんて考えていた。

 

んで、打ち合わせが始まった。

打ち合わせとかって、アイスブレイクとして天気や時世の話なんかで始まることが多いでしょ?

その日も僕はそんな感じで「今日はむっちゃ良い天気で最高ですよね。こんな日は出かけたくなっちゃいますね~」なんて話しかけた。

まあこういう会話は中身があってないようなもんだし、そこまで広げるようなものでもないから「そうですね~、今日みたいな天気が続くと良いですね~」くらいの答えが返ってくると思っていた。

でも、返ってきた第一声は全く想像さえしていないものだった。

 

「いや~、今日は最悪ですね」

 

えっ、最悪?何で?

僕はビックリしてワケが分かんなくなった。

 

思わず「何が最悪なんですか?」と聞き返したんだけど、返ってきた答えを聞いて僕は納得した。

 

「今日は花粉が酷いんですよ・・・」

 

そう、彼はなかなか酷めの花粉症だった。

そしてその日は久しぶりの晴天&ポカポカ陽気で前日よりはるかに多くの花粉が舞っていた。

 

彼からしたら、その日は花粉症の症状が酷い、悪夢のような日だったのだ。

 

でも、僕は花粉症じゃないから、そんなことは全く想像すらしてなかったんだよね。

 

前なら、この時期にマスクをしている人は花粉症なんだろうなって推測はできたけど、コロナ以降はマスクを普通にしてる人も多いし、僕の周りには不思議と花粉症の人がほとんどいないから、完全に頭の中から消えていた。

 

そこからどれだけ花粉症が大変なのか聞いたりして盛り上がったから、アイスブレイクとしては良かったんだけど、この一件は僕の中でかなりインパクトがあったしハッとさせられた。

 

 

あなたが何かを判断するときって、「自分の価値観」が基準になるよね?

それは誰しも当たり前のことなんだけど、僕らライターにとってこの「自分の価値観」は仕事の邪魔になることがある。

 

なぜなら、「伝える相手は自分と違う価値観の人」の場合が多いから。

 

自分と違う価値観の人に、自分の価値観や思い込みで伝えても、冒頭の僕のような失敗が起きる。

会話のような双方向コミュニケーションならば、そうした「違い」も会話のスパイスになることもあるしリカバリーの機会もあるけど、文章で伝える場合はその「違い」を埋める機会は存在しない。

 

よくリサーチで「見込み客のことを調べましょう」なんて言われるけど、見込み客のリサーチで調べるべきことはこの「価値観」が全てだと言っても過言ではないと思う。

 

んで、この見込み客のリサーチをするときに、「自分の価値観」をどれだけ排除できるかが実は重要なんだよね。

本来見込み客が考えていることをそのまま事実として受け入れるべきなのに、「自分の価値観」というフィルターを通して曲解してしまったり、事実と違うのに「こうだろう」と決めつけてしまう場合がある。

 

んで、その状態で書いちゃうと、見込み客に全く刺さらない残念なものが出来上がる。

俗に言う「ペルソナ失踪事件」が起きているマズいレターの原因は、この「書き手の価値観の押し付け」が根底にある場合が多いんだよね。

 

だから、僕らは普段からどんな見込み客に対しても共感する能力を養う必要がある。

そしてそういった感性を磨くためには、小説や映画、ドラマやマンガなど多くのストーリーに触れたり、普段からパラダイムシフトを起こすべく色んな人や価値観に触れたり、新しいことにチャレンジしたりするのが良いよね。

 

そうやって色んなものに触れて育てていく価値観は、きっとあなたをライターとして、そして人間として一段階上に導いてくれる素敵な「相棒」になってくれるんじゃないかって、僕は思うよ。

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