from: 藤村紀和
今提供していて順調に売れている商品サービスが、
時代の変遷や競合の出現で「ヤバいよ!ヤバいよ…」になることが出てきています。
それは、商品のUSPとペルソナがズレてきているから、ではないでしょうか?
絶えず時代の流れを肌で感じてブラッシュアップはして、
自分の提供したいもの=消費者が求めるもの、と合致させていきたいですよね。
消費者は時代の移り変わりで趣味嗜好が変わります。
そして「他人を変えることはできない」と言いますよね。
ならば提供する側が変わる必要があります
(ただ変わらないのは、「人」としての欲求ですね)
そんな事例をプロレスで紐解きます。
時は2000年代前半。
当時はK-1やPRIDEといった格闘技ブームが隆盛を極めていました。
その一方で、プロレスは冬の時代になっていました。
アントニオ猪木が創設した新日本プロレスは業界最大手なのですが、このとき売り上げがピーク時の3分の1にまで落ち込みます。
これも実質的なオーナーであるアントニオ猪木が、格闘技路線を推し進めた結果でした。
なぜなら、プロレスと総合格闘技は似て非なるもの。
アントニオ猪木の命で新日本プロレス所属のプロレスラーは総合格闘技のリングへ出ていきます。一部は活躍しましたが長くは続かず、多くのレスラーは敗れ、ファンの求心力を急速に失っていったのです。
それでも格闘技路線をやめない猪木に多くのレスラーが反発して、
ついに闘魂三銃士として長年新日本のエースだった武藤敬司が複数人のレスラーと新日本を離脱し、中枢社員数名を引き連れて全日本プロレスに移籍。
当時現場監督だった長州力も、水面下で新日本プロレスから離脱を模索し(のち新団体旗揚げ→倒産)、とにかく新日本は危機的状況に陥ったわけです。
プロレスラーはもちろん毎日鍛えてますし、
年間200試合以上やるわけです。
しかし総合格闘技の試合は年に数回やる程度です。
練習も調整の仕方も全く異なるんですよね。
それなのに指令で「来月のこの大会に行け」と言われ、
しかもトップ格闘家とルールも異なるなかで闘うわけです。
当時は新日本プロレスの興業でも、格闘技”風”のカラーが強かったのですが、それは外食メニューにもよく見られる、○○”風”であって、ホンモノではないんですね。
だから俄かプロレスファンからすれば
「なんだ、プロレスラーって弱いじゃん」
と見下して観なくなり、
昔からプロレスが好きなコアファンからも
「俺たちは格闘技なんか観たくない」
とそっぽを向いてしまい、
結果両方のファンから見限られたってことです。
どっちつかずは、どちらからも支持されない。
この法則が強く出た流れなのでした。
現に倒産寸前までいっていたみたいです。
時代の流れは格闘技全盛です。
しかし相手の土俵へ出れば分が悪い…
であれば、対極に位置してプロレスでしかできない”らしさ”を徹底的に追求し売り込みました。
人気があるということは必ずアンチもあり、
しかもプロレスはかつてよく観ていたという休眠客も多いです。
今回の話では、総合格闘技という競合が現れ、
時代の流れに乗ろうとするも相手の土俵で戦わずに、
・プロレスのターゲットをどこにおく?
・自分たちの強みを生かせるターゲットは?
を追求し、その層に徹底的にアピールして復活した、というお話し。
因みにターゲットは女性とこどもというライト層の開拓を始め、幅広く認知され人気も復活したんです。
格闘技にはない技の応酬やアクロバティックな動き、
そして華やかなチームなどなど、売れるものがたくさんありました。
昔からプロレスマニアだったオーナー主導で買収劇が起こり、観る人目線とプロの会社経営を持ち込み、立て直されたのも大きいですね。
レスラーはリングに集中して戦い、
経営や広報はプロに任せる。
時代に乗るには、
「流行りに乗る」「流行りの対極に行く」
の二極があります。
あなた自身や、あなたの商品サービスやウリ、
今の時代に取り残されていませんか??
今流行の単語や世の流れに沿えば、それだけ市場は大きいですよね。
しかしその対極も強いコアターゲットがいます。
絶えず客観的な視点で見続けましょう。
追伸)
そんな中でもメジャーからインディーまで見続ける自分は、プロレスが好きなんだな…どこが魅力なんだろう??と思ってしまいますね。