「かずのこ」をめぐる(マーケティング的)攻防

かずのこ

From:吉田知也
 

これは少し前、
昨年の暮れの話です。

うちの近所のイトーヨーカドーに
買い物に行っていました。

お正月はおいしいものを食べたいので
自然と財布のヒモが緩みます。
で、何かないかなーと思って行ったら
北海道の海産物展をやってたんですよ。
 

ぼくは3年前まで札幌在住だったので
デパートなどで北海道展を見かけると
地元応援の意味も含めて
何か買っていく習性があります。
 

時期柄、カニとかいくらとか
定番の高級海産物が並んでいて、
その中で目に止まったものがあります。

かずのこ入りの松前漬です。
瞬間的に「食べたい!」ってなりました。

ちなみに子供の頃は松前漬嫌いでした。
ドロッとしてるのが苦手でしたが
大人になってからは好物です。
かずのこ入りならなおさらです。
 

その松前漬けは、
100gで1,000円でした。
かずのこ入りなので値段が高いです。

すぐ手に取れるように
大きいパックと少し小さいパック、
2種類の大きさのパックが並んでおり、
値段のシールは貼られていませんでした。

でも、気持ちは正月モードです。
もうこの一番でっかいパックを買って、
酒のアテにすることしか
頭の中にはありません。
 

念のための確認です。
さっそく販売員のおばちゃんに
「この一番大きいパックだと、
 何グラムくらいですか?」
と尋ねました。

すると、300グラムだと教えてくれます。
となりの少し小さいパックは
200グラムのバックだと教えてくれました。

よし、300グラムで行こうと思った瞬間、
そのおばちゃんは言いました。
 

「まぁ、私なら200グラムあれば
 十分だと思うけどね」
 

300グラムを買う気満々のぼくに向かって、
まさかのダウンセルが入りました。
(より安い価格の商品オファーのこと)
 

しかし、こんなことでは
ぼくのかずのこ欲を
止めることはできません。
 

「いえ、お正月なので
 一番大きなパックでいきます」

「あら、そうかい。
 ありがとうございます。3千円です」
 

ということで、
無事に3千円のパックを
ゲットして帰ってきました。
おかげさまで、正月の間じゅう
かずのこ松前漬けを
楽しむことができたのですが……。
 

マーケッター的な視点から見て
おばちゃんの対応が気になったので
今日のネタにしています。
ごめんねおばちゃん。
 

「まぁ、私なら200グラムあれば
 十分だと思うけどね」

というのは、
おばちゃんの価値観です。
 

純粋におばちゃんの親切心から
出た言葉かもしれません。

もちろん、
不必要に大きなサイズだとか
確実に余る量であれば
薦めない方が良いでしょう。

一人で300グラムは、確かに量が多いです。
でも、家族が何人いるか分からない状況で
「多い」と断じるのは早計かもしれません。
 

また、もしかしたらおばちゃん自身に
「売り込みのマインドブロック」が
あった可能性もあります。
あんまり高いものを買ってもらうのは
申し訳ないなー、みたいな。

でも、その金銭感覚は
売り手の価値観であって、
買い手の価値観とは異なります。
 

その時のぼくの価値観は
「プチ贅沢で正月を楽しみたい」でした。
その人に対して、極端な話
「頭を冷やせ」と言っているようにも
取られかねません。

今回はぼくのかずのこ欲が勝ちましたが、
こうした一言が、販売側としては
上げられたはずの売上を
ロスするかもしれないのです。

ダウンセルは、
相手の状況を確認してからでないと
もったいない結果になります。

200グラムを勧めるのは、
買い手が一人で食べる予定だとか
300グラムの購入を渋る様子を
見せてからでも遅くありません。

 
 

まぁ、一人で300グラム
全部食べましたけどね。