誕生日の悪夢

from 成澤将士

先週は僕の誕生日だった。

お祝いのメッセージを頂いたり、家族でゴルフに行ったりと、素敵な誕生日でした。

でも僕は子供の頃、自分の誕生日が本当に嫌で嫌でしかたなかった。

 

なぜか?
それは、誕生日が3月3日だから。

それの何が嫌なの?って思うでしょ?
ひな祭りで憶えやすくて良いじゃんって思うでしょ?

 

でも子供の頃の僕には、このひな祭りってのが問題だった。

 

だって、女の子の日じゃん。
でも僕は男だよ?この日だけはダメじゃん!
って思ってた。

 

だから「ひな祭り」と言われても、「いや、耳の日だから!」と謎の抵抗をしていた(笑)

 

ちなみに隣の家の幼馴染の女の子は5月5日生まれ。
「逆だったら良かったのにねえ・・」
と毎年のようにお互い嘆いていた。

 

んで、子供心に何が一番嫌だったかというと、誕生日ケーキ。

 

当時(今から30年前)、僕の田舎町にはケーキ屋さんがなかった。
僕の知る限りでは、隣町にたった1軒だけ。

 

なので、ケーキを買うって言ったら、その店一択。

 

そして僕のケーキには、毎年ひな人形のお菓子が乗っていた。
この人形が、凄~くイヤだった。

 

子供心に、なんか「ついで」みたいで、「女の子」みたいで、とにかく悲しい気持ちになったんだよね。

 

小さい男子ってカッコいいのが好きでしょ?
なんかケーキを見ると、自分がその対極にあるみたいに感じたたんだと思う。

 

もちろんケーキを予約して用意してくれた両親にも、祝ってくれてる家族にも感謝してたけど、それでもこの気持ちはどうしようもなかった。

 

それである年の誕生日前、思い切って「乗ってる人形が嫌だ」って母親に言ったことがあった。

 

そして迎えた誕生日。親と一緒にケーキ屋さんに向かう。
予約の時に、人形は要らないと伝えてくれたらしい。

 

やった!今年は「普通の」誕生日ケーキだ!
と喜んだのに、出てきたケーキには奴らが鎮座している・・・

 

え、なんで?要らないって言ったよね?
僕はショックで固まっている。

 

そこへ店員さんのトドメの一言。
「お人形はサービスで乗せときました(満面の笑み)」

 

母「わざわざありがとうございます」
僕「・・・・・・・・・」

 

ウチはそれはそれは厳しい家だったので、食べ物でゴネることなんて許される家じゃなかったし、それが分かっているから今までは我慢していた。

 

でもこの年、僕はついにケーキが食べたくないと駄々をこねた。

 

そして飛んでくる親父の怒号と鉄拳。
「祝って貰ってんのに何が嫌なんだ!ケーキが嫌ならこれでも食ってろ!」

 

そう言って目の前に置かれたのは、ロウソクがぶっ刺さった祖父母のお茶菓子のどら焼き・・・

 

えっ、僕アンコ食べられないよ・・・
でもどら焼きの皮は好きだけど・・・
っていうかコレ、ケーキじゃない・・・

 

そして、目を真っ赤に腫らして全く笑顔のない誕生日の写真(笑)

親父も良くこの状態で写真撮ったな(笑)

 

ってなことがあって、僕の心はついに折れてしまった。
僕は二度と誕生日のワガママを言うことは無くなり、翌年以降もケーキの人形は鎮座していた。

 

ホントしょーもない話だなって思うんだけど、こういうのって何年経っても忘れないもんだね(笑)

 

 

んで、毎年この話で思うのは「伝え方」って大事だな。ってこと。

 

当時の僕は「人形が嫌だ」としか言ってなかった。
恐らく忙しい母親は「ケーキに乗っている人形は無くて大丈夫です」くらいに伝えたんだと思う。

 

だから僕が、母親に人形が嫌な理由をきちんと伝えていれば、こんな事は起きなかったと思う。

 

僕らセールスライターは「伝わるように伝える」ことが大事で、言いたいことを言っちゃダメなんだよね。

 

ついつい自分主観で書きがちなコピーだけど、受け手に響かなきゃ意味がない。

 

だから伝わるように、相手のことをリサーチし、主観を抜いて俯瞰でレターを眺める。
そういう「客観性」が必要なんだと、誕生日を迎えるたびに思えるので、やっぱり誕生日は良いものだ(笑)