from 成澤将士
週末美容室に行ったときのこと。
僕は今の美容室に8年くらい通っているので、お店の人のほとんどと顔見知りで仲良く話すし、集客や人材育成の相談なんかも良く受けるので、さながらコンサルっぽくなることもある(笑)
それで、担当のスタイリストさんと新人育成の話をしていたんだけど、そこから派生してスタイリストデビューまでの経緯の話になった。
そこのお店は、新卒は入社してからアシスタントを2年経験して、カットモデルを相手に練習を積んで、既定の試験に合格しないとスタイリストデビューができないという。
んで、試験を受けるのに必要なカットモデルの人数はなんと100人。
一昔前は、知り合いに声をかけまくって、足りない分は駅前で道行く人に声をかけたりして、とにかく人を集めるのが大変だったらしい。
最近は、美容関係の「モデルになりたい人」と「モデルを探している人」を繋ぐアプリがあるらしくて、それから人探しは幾分楽になったけど、やっぱり既定の人数を集めるのは大変らしい。
ところが、今年から会社の方針で、その規定人数がこれまでの半分の50人になったという。
それを聞いて僕は「んじゃ今年の人は人集めの負担が軽くなってラッキーですね」って言ったんだけど、担当さんから真顔で予想外の返事が来た。
「いや、今年の人はかわいそうですよ。50人じゃ絶対足りないです」と。
担当さんが言うには、「美容師は経験がモノを言う職業だから、50人じゃ経験値が絶対的に足りないし、試験にも受からないだろう」という。
そして、「仮に試験に受かったとしても、その程度の経験じゃ自信もつかないし、その状態でお客様のカットをするのは怖くて手が震えるだろうし、任せるのも正直不安だ」と。
そのあと、ちょうど今年のデビューに向けて絶賛カットモデル募集中の22歳のアシスタントさんと話すタイミングがあった。
そのアシスタントさんは、現在38人カットしていて、あと12人で規定人数はクリアらしい。
そこで、「50人って数字どう思う?」って聞いてみたら、「全然足りません!コロナとかで人集めが大変なので会社の方針は分かりますが、正直減らしてほしくなかったです」って答えが来た。
お店の人たち全員が、「自分たちの苦労よりも、お客様のためにスキルを磨くことの方が重要」で、「未熟なままお客様の相手をしてはいけない」という考え方。
本当に素晴らしいプロ意識だよね。
この美容室のあるエリアは半径200メートルくらいに20件以上の美容室がある超激戦区なんだけど、それでもいつも予約でいっぱいで大繁盛なのも納得。
ひるがえって、僕らの業界はどうだろう?
プロデビューに向けて、お客様の期待に応えるために、これほどまでに努力してスキルを磨いている人はどれだけいるだろうか?
僕らは「書く」のが仕事なんだから、それができるのは当たり前。
人様から1円でもお金をもらう以上はプロとして自覚をもつ必要があるし、自分の仕事のクオリティに責任を持つべきだよね。
そのための基礎練習はいくらでもやるべきだし、やらないと絶対伸びない。
よく最初の頃は「写経が大事」とか「日記でいいから毎日書こう」とか、「何かお題決めてとにかく書いてみよう」とか言われるけど、これってぶっちゃけ当たり前の話で、人に言われてやるほどの事でもないんだよね。
どうやって仕事を取るか?とか、単価を上げる方法とかを考える前に、自分がプロとしてやっていけるほどの自信と経験を積むことの方がはるかに重要。
それに、スキルのある人なら、ちょっとした工夫さえすれば自然と仕事も高単価案件も簡単に決まるようになるしね。
僕らの仕事も美容師さんと同じで技術職。
生き残っていくために最低限必要なのは、顧客の望む状態を叶えるためのスキルや、顧客満足度を上げるようなコミュニケーション。
これらを磨く努力は当たり前だし、それが嫌なら先はない。
色んな知識のインプットは確かに必要だけど、「知っている」のと「できる」のは全くの別物。
だから、とにかく書いてアウトプットをしまくって技術を磨く必要がある。
さらに良いフィードバックをもらえる環境があれば、なお良いよね。
厳しい言い方になっちゃうけど、新しい世界で頑張るなら、プロとして生きるなら、それなりに努力をするのは当たり前。
誰だって始まりは初心者でレベル1。多少の違いはあれど、へっぽこなのは間違いない。
でもそこから、コツコツ努力を重ねていければ、経験値も溜まるしレベルも上がる。
そして、そういった積み重ねを経て道が開けてくるし、その道の先に自分の望む未来がある。
今の仕事や生活をしながら、新しい世界のインプットやアウトプットをしていくのは大変だと思う。
だからこそ、そんな時は「なぜ、この仕事をしようと思ったか?」を思い出してほしい。
その想いはきっとモチベーションになるはず。
それを原動力に、日々頑張っていけたら素敵だよね。
あなたならきっと大丈夫。
諦めずに頑張ろう。