from 成澤将士
先日、クライアントからメールが届いた。
「至急電話をください」と。
ちなみにそのクライアントは今回初めての取引。
んで、このメールの前日に作ったものを確認のために送っていて、後日フィードバックや修正を兼ねた打ち合わせを打診していたところだった。
なので、十中八九「思ったのと違う」とかクレームやお怒りの電話なんだろうなあと思いながら、むっちゃ憂鬱な気持ちで電話をした。
ところが、いざ電話をしてみると、電話に出た相手の声のトーンがどうも怒ってる感じじゃない。
それどころかなんかテンションがやけに高い。
あれ?俺なんか勘違いしてる?って思ったら、
「作っていただいたものを拝見したのですが、とても素晴らしい出来で役員共々大変満足しています。それで、実は社内で別な案件もお願いしたいという話になりまして、そちらの説明と受けて頂けるかと、スケジュールの確認をして上に返事をする必要がありまして、それで急いで直接お話したかった次第です」
と、想像とは全く違う展開の話だった。
僕は、ホッとしたのと嬉しいのとでなんだか力が抜けてしまった。
ちなみに、個人的には、この「クライアントが満足してくれる」っていうのは、ある意味数字が出るよりも嬉しかったりする。
クライアントの望み通りかそれ以上のクオリティのものを作れて、それに対して満足そうな声をもらえるのは、ある意味職人冥利に尽きるよね。
ちょっと前にTVで、漫画の背景を専門に書いているプロのアシスタントさんが「漫画が売れるとか面白いとかよりも、作者が満足してくれることの方が嬉しい」って話してたんだけど、その気持ちは何となく分かる。
まあそれに、リリースの状況やタイミングで数字が変わることはままあるし、一度クライアントが「良いものだ」と満足してくれていれば、仮に数字が出なかった場合でも、その後の修正やフォローも円滑に行くので、結果として成功しやすいってのもあるしね。
電話の終わり際に「御社に依頼しようと稟議を通した私も鼻が高いです」
と言ってもらえて、本当にありがたいなあと思ったし、頑張って良かったなあと嬉しくなった。
ところで、ライターの仕事は大きく分けて2つある。
1つは言わずもがな「書く」こと。
そしてもう1つが「仕事を取る」こと。
俗に言う営業活動ってやつだね。
ちなみに、書くことに時間を使っている間は営業活動はできない。
そして営業活動の間は書くことはできない。
まあ、やりようによってはできないワケじゃないけど、間違いなく時間は限られてくる。
例えばウチの場合だと、新規の相談があった場合は、初回打ち合わせ前の事前リサーチに始まり、打ち合わせ、その後の見積もりや提案書作成にプレゼン、契約書作成などなど、1つの契約を取るためにかかる時間は数時間どころか数日稼働が必要。
んで、その間はライティングできない。
ウチはまだ会社でやってるから分業したりできるけど、ホント一人でやると大変なのよ。
・仕事を取らなきゃいけない。
・取ったら書かなきゃいけない。
・書いてる間は営業できない。
・営業できないから仕事が増えない。
・だから仕事を取らなきゃいけない。
・ずっと繰り返し
ってスパイラルに陥るんだよね。
まさにゴールがないマラソン。
1度この流れにハマっちゃうと、抜け出すのが本当に大変だし、精神的にもマジでしんどい。
そこから抜け出す方法はいくつかあるけど、その中でも一番簡単で確実なのが、クライアントから次の仕事をもらったり紹介をしてもらうこと。
すでに取引も信用もある状態だから、話も早いし苦労も少ないしで、いいことずくめ。
だからクライアントから「次もお願いします」とか「別件で相談があるんですが」とか言ってもらえることは、僕らにとって本当にありがたいし助かるんだよね。
ちなみに、良いライターほどクライアントに「囲われる」から、新たなクライアントに対応する余力がなくなりがち。
つまり、仕事が受けられる良いライターって、市場に少ない状態がずっと続いてるんだよね。
だから、今からでも頑張ってスキルを磨けばチャンスはいくらでもあるし、1つの仕事を一生懸命やれば、そこから派生して一気に道が開けることだって普通にある話。
もちろん、そうなるためには、良いものを作り、取引相手として誠実で丁寧な対応が必要なのは言うまでもない。
活躍できる場はまだまだいくらでもあるから、まずはスキルを磨きつつ、知識を増やしたりコミュニケーション能力を高めたり、あとはビジネスマナーとか、少しづつ自分の幅を広げていけると良いよね。
ということで、今週もお互い頑張りましょう!