SKE48の返金保証公演に思うこと

from 成澤将士

去年、「色んな業界で返金保証が流行っている」という話をしたんだけど、あなたは憶えているだろうか?
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【考察】返金保証が流行っている理由

これで話しているように、返金保証はどこでも取り入れているんだけど、ついにこの業界でもやり始めたか!とちょっと驚くニュースを目にした。

 

それは、アイドルグループのSKE48が、全額返金保証公演を開催するこというニュース。

ニュースによると、11年ぶりとなるオリジナル公演「愛を君に、愛を僕に」の公演はあの小室哲哉氏のプロデュースで「公演に対する自信と覚悟、そして本気度を示すアクション」として、チケット料金の4000円(税込)を、当日に限って「ご満足いただけなければ、全額返金する」というもの。

 

実際問題、物品系や自己研鑽系(セミナーやダイエットなど)は、心理学でいう「保有効果」が働くから返金率はだいたい決まてくるんだけど、こういうエンタメ系や芸術系のように「個人の主観が判断基準」のものって、返金保証しづらいんだよね。

例えば、同じ映画を観ても、面白いと感じる人がいれば、つまらないと感じる人もいる。

そのつまらないと感じた人全員に返金するようなもので、結構リスクが高いんだよね。

これが、ビフォーアフターで定量できるものとかならやりやすいんだけど。

 

今までもインディーズ系のミュージシャンが返金保証ライブとかやってるのは知ってたけど、この規模のグループが返金保証をやるのかと驚いたし、同時に上手いなあとも思った。

 

上手いなあと思った理由は3つ。

1つめは、ライブに行く多くのファンはそもそも返金しないってこと。

好きなアーティストと同じ空間にいて盛り上がれる、それだけでライブはプライスレスで最高な時間。

何かしらアクシデントがあればそれが思い出になるし、仮にパフォーマンスが悪かったとしても「調子悪い中でも頑張ってくれた」って解釈になる。

さらに言ってしまえば、「返金したら○○がかわいそう」という心理すら働く。

 

そう、どう転んでもそういうファンは多少の不満程度では返金などしないのだ。

毎年浜崎あゆみのライブに行ってる僕が言うんだから間違いない(笑)

 

 

もう1つは、新規開拓のきっかけになるってこと。

「SKEのライブ行かない?つまんなかったら返金してもらえるし」みたいな感じで、友達を誘っていく人もいるだろうし、今までよく知らなかった人もこれをきっかけに行くかもしれない。

これまでライブに行ったことのないライトなファン層が行くきっかけにもなるかもしれない。

そしてライブを見て楽しければコアなファンになり、その後長きにわたり応援してくれてお金も落としてくれる。

そう考えたら、良い施策だよね。

 

 

そして最後の1つは、宣伝効果。

僕がこうして書いているように、このニュースは多くのメディアに取り上げられ、頼まなくても勝手に拡散してくれる。

こういう宣伝告知は通常お金も時間もかかる大変なものだけど、それを返金保証って言葉を入れるだけで、お金も時間もかけずに他人にやらせたのだ。

特に今回は小室哲哉氏のプロデュースという特別感もあり、さらにニュースになりやすいよね。

もしかしたらこの宣伝効果こそが最大の狙いだったかもしれない。

 

 

もちろん、こういったマーケティング的な側面以外にも、彼女たちが一生懸命頑張り、自信がある公演で、その気持ちの表れであることも本当だろう。

でもそれ以上に、今回の返金保証公演はマーケティング的に秀逸だった。

これを企画し、決断をした運営は相当やり手なのは間違いない。

 

 

というわけで、やっぱり返金保証ってパワーがあるよね。

今後こうした「何でも返金保証」の流れは、ますます加速していくだろう。

そのうち、返金保証は「ついていることが基本」みたいになるかもね。

 

まあ、そうなったらまた差別化できなくなっていくから、今度は逆に「返金保証を付けない価値」みたいな見せ方が増えるかもしれない。

 

マーケティングは目立つことと競合の逆をやることが基本だから、実はこういうイタチごっこみたいな動きも結構あったりする。

やっぱりマーケティングって奥が深いね(笑)

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