健康食品のテレビCMで使われる、独特な言葉の表現を観察する

From:吉田知也

健康食品のCMを見て、
独特な言葉の表現を
ウォッチするのが趣味です。
 

観察にいちばん都合が良いのは
テレビの野球中継です。

チェンジの間にはCMが流れますが、
野球中継はほとんどがCS放送で
視聴年齢層が高めだからなのか、
流れているCMはほぼ何らかの
健康食品の通販なのです。

ぼくにとってはこのCMタイムが
試合の行方と同じぐらい大事です(笑)
 

薬機法の規制で、健康食品のCMでは
効果・効能を直接言うことができません。
直接的な表現を避けながら、
いかに見ている人に効果・効能を
想起させるかというところで
専門のコピーライターが
シノギを削っているのが
健康食品のCMです。

そう考えるとあついでしょ?

 

たとえば、
前立腺肥大に関連する
排尿症状に効果があるとされる
ノコギリヤシのCMなんかで
よく見かけるのが、
 

夜、パジャマ姿の男性が
廊下を歩く姿を流しながら
こんなナレーションが流れます。

「夜中に何度も……」
 

これしか言いません。
何度もなにが起こるのかは
CMでは一言も触れていません。

映像でも、男性がどこに行くかは
まったく見せていません。

 

でも、全体的なシチュエーションから
見ている人は「トイレに行くんだな」と
想像できてしまうわけです。

 

ほとんどの人がCMを
無意識に見ていると思うので
「トイレの話をしてるな」と
勝手に判断してしまうのですが

冷静になって全体を見てみると、
使っている言葉には
動詞も目的語も全くないのです。
 

とても秀逸です。
よく考えたなと思いますし
人の脳の情報補完能力もすごいです。

 

健康食品のCMでは
このような、明確にその対象や
効果・効能を言わないけど、
全体的なシチュエーションで
内容を想像させる表現が多いです。

言ってみれば、
これだけ伝えたい情報が
「欠落」しているにも関わらず、
お客さんの頭の中には
効果や効能、得られる未来が
想起できるのですから、
広告として学ぶべきところは
とても多いです。

 

ちなみに、
もしそういったCMを見かけたら
CM内で使われている言葉を
そのまま音読してみてください。
言葉としてのおかしさに
気づくことができます(笑)

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