from 成澤将士
先月、ワタミグループがホワイト企業大賞で特別賞を受賞したとのニュースを見た。
ワタミと言えば、2013年にブラック企業大賞を受賞して一躍有名になった。
それ以降、ワタミ=ブラック企業みたいな存在に。
そのため、巷では不買運動が起きてワタミは軒並み閑古鳥で大赤字に。
ただ、ここで終わらないのは流石。
「ワタミって名前出さなきゃ大丈夫じゃね?」
とばかりに屋号の違うお店を続々出店して、黒字回復している。
ちなみに現在ワタミグループには、屋号に和民と名前の付かない業態が8つもある。
今回ホワイト企業大賞で表彰されたのも、3代目鳥メロという焼き鳥業態。
僕は飲食店経験者だから、飲食店の内情やブラックぶりは良く知っているし、この人材不足の時代にホワイト認定は単純に凄いなと最初は思った。
でもすぐに、「ホワイト企業ってどうやって判断してるの?」という疑問を持った。
それでちょっと調べてみたんだけど、、、
誤解を恐れずに言えば、このホワイト企業大賞は「お金で買える」ものだった。
ホワイト企業大賞はどのように認定されるかといえば、企業や団体からの応募ありきで、大賞側が独自に審査を始めるわけではないらしい。
そして企業はエントリー費用として大賞側に10万円を払い、「ホワイト企業指数アンケート」を社内で実施し、それを大賞側に提出。
そのアンケートの選考を経て、大賞が発表されるようだ。
今回は三十数団体の応募があり、31団体が受賞。
受賞できなかった団体は社員アンケートの回収率が低いからだったという。
ちなみにこのアンケートは、社内で公開する義務があるらしい、、、
つまり、穿った見方をすれば、、、
「お金を払って、アンケートに圧や誘導をかければ」ほぼ受賞できる。
(もちろんそんなことはしてないと思うよ)
ではなぜワタミがホワイト企業大賞に応募したのか?
これは僕の予想だけど、人材確保のためにやったんだと思う。
昨今、飲食店はどこも人材確保に苦労している。
特に近年の人材不足は深刻で、社員の確保は相当大変。
実際、流行っていても、従業員が確保できなくて閉店する店も多い。
世間は人材不足な状態なわけで、就職先は選び放題。
その状態でワタミが募集をかけても「あのブラックの、、」となれば選択肢にも入らない。
だからワタミはこのイメージを払拭して「なんか良いかも」と思わせる必要があった。
そのために「ホワイト企業」の称号はどうしても必要だったんだと思う。
僕は今回、この手法について是非を問いたい訳ではない。
僕がこの事実を知った時「ああこれ、モンドセレクションに似てるな」って思った。
モンドセレクションは出品料の15万円を払うと、約9割の確率で受賞できる。
まあ裏側の細かいことは割愛するので、どちらも興味があれば調べてみてほしい。
僕が注目しているのは、どちらにもマーケティングにおいて重要な「権威性」を利用しているという事。
人間は買い物をするとき、潜在意識で「なんか良さそう」と思わないと、次の「購入」というステップに進まない。
この「なんか良さそう」に絶大な効果を発揮するのが「権威性」なんだよね。
特に日本人はこの「権威性」に弱い。
「認められた」という事実を盲目的に信じてしまう。
内容は何にも知らなくても。
ちなみに少し昔に「ドイツ生まれ」を謳う洗剤や消臭商品がTV通販でむっちゃ流行ったことがある。
当時の日本人のドイツへのイメージが分かるよね(笑)
「権威性」は確実にセールスレターにパワーを与えてくれる。
客観的な数字やデータ、外部のソースなど、セールスレターに使えるものは多い。
この辺りを見つけることも、リサーチで重要な作業。
リサーチって奥が深いね。