from 成澤将士
ライティングではよく「感情に訴えましょう」って言うよね?
実際、感情に訴えるのってむっちゃ重要。
例えば、そこそこ読みやすいのにワクワクしないとか、なんかつまらないなあって思うときは、ほぼ間違いなくこの感情への訴えが足りていないことが原因。
そして、この感情をレターに反映させるのが苦手な人は、大きな勘違いをしているケースが意外と多いんだよね。
それは、「感情を1つしかピックアップしていない」というもの。
「このレターは怒りに訴えている」とかね。
こういうやり方をしていると、残念ながら上達は難しいと思う。
なぜなら、人の感情なんてコロコロ変わるもんだし、色んな感情が同居してるのが当たり前だから。
もちろん、訴えるべき感情のメインは決めるべきだけど、それ以外にも様々な感情を盛り込むべきなんだよね。
分かりやすいところで、TVショッピングでありがちな「自宅で毎日1分やるだけで痩せる器具」的なものを例に、購入者側にどんな感情がありそうかを考えてみよう。
・太ってると馬鹿にされたから痩せて見返したい
・健康のために痩せたい
・太っている自分が恥ずかしい
・だらしない自分を変えたい
・若いころの痩せていた自分を取り戻したい
・痩せて「スゴイ!」って褒められたい
・痩せてカッコ良くなればモテるかも
・ジムに通うのはめんどくさい
・ジムに行って人前でだらしない身体やできない姿をを見られたくない
・お金はなるべくかけたくない(ランニングコストとかも)
・楽して痩せられそう
などなど、「痩せる」って事実は1つでも、それに対して思いつく感情ってたくさんあるよね。
そしてこれらは、いずれかの感情をきっかけに多発的に浮かぶもの。
だから、どれか1つだけしか入れないと、薄っぺらい内容になるし、読んでいてもつまらないものになっちゃうんだよね。
さらに、「太ってきたので健康のために痩せたい」ってのを例に挙げるけど、
この「健康のために痩せる」ってのも、なぜ健康になりたいのか?も深堀りできるよね。
・太ったせいで睡眠時無呼吸症候群になって最近眠いし仕事のパフォーマンスが落ちてる
・健康診断の数字が悪くて、このままだと突然死しちゃうかも
・子供が小さいから、せめて成人するまではバリバリ働き続けたい
・入院とかして家族に迷惑をかけたくない
・寝たきりにならずに長生きしたい
みたいな感じで、色々な感情があると思うんだよね。
こうした感情や描写が多ければ多いほど、レターに具体性や厚みが出てきて読み物としての魅力がアップするし、読み手の共感や関心をより得られるようになる。
ちなみに、人ってすぐ忘れる生き物だから、生命に関わる恐怖以外の感情って、意外とすぐに浮かんでは消えたりするんだよね。
なので、レターを通じてその抱えている色んな感情を思い出せてあげたり、さらに新たな感情や価値観を与えたりできたらベストだと思う。
こういった感情をどれだけ盛り込むのか、どんなボリュームで言うのか、あえてガッツリ言わずに暗示程度に留めるのか、この辺はライターの腕の見せ所だよね。
そして当然ながら、こういった取捨選択は、ペルソナにマッチしたものでなければ意味がない。
だから、リサーチでペルソナの感情や日常を明確にすることが重要なんだよね。
とはいえ、いきなりレターに色々な感情を盛り込むのは、最初のうちはなかなか難しいのも事実。
なので、ライティング時に感情を盛り込むトレーニングとしておススメなのが、セールスレターを読んで「訴えている感情は何か?を探す」というもの。
これは俗に言う「見取り稽古」みたいなもので、自分の意識や感度を上げるトレーニング。
「ここはこんな感情に訴えてるなぁ」って気づいた部分を、マーカーを引いたり書き出してみたりしていくと、良いレターには色々な感情が散りばめられていることや、ライターがどんな意図でその一文を入れたのかとかも、だんだんと気づけるようになってくる。
そして、時間が経って(経験を重ねて)からまた同じレターを読み込んでも、そのたびに新たな発見があったりもする。
僕らは「頭で考えたことしか書けない」ワケだから、この手の思考トレーニングってかなり効くんだよね。
意識次第で、「書かなくてもスキルが上がる」って何か良くない?