オファーと県民性

from 成澤将士

以前あるバラエティー番組でこんな実験をしていた。

それは、アーケード商店街にいろんな商品を置き、その横に

「無料!ご自由にお持ちください」と書かれたPOPを置いておいたら、通行人はどうするか?

というものだった。

ちなみにこの実験、大阪と青森で全く同じ実験をしていた。

 

気になる結果はというと、、、

 

大阪のおばちゃんたちは、それが無料だと分かると、一気に群がりはじめた。

さらに通行中の見知らぬおばちゃんにも声をかけはじめ、あっという間に商品は無くなった。

 

一方、青森のおばちゃんたちは、いぶかしげに覗き込み、周囲を見て首をかしげると、その場を立ち去る人が続出した。

結局持って行った人は確か1人しかいなかった。

 

番組では、その後おばちゃんたちに、どうして持って帰ったのか?

なぜ持って帰らなかったのか?

それぞれインタビューをしていた。

 

「タダやろ?持って帰らな損やん」

「要るか要らんかは持って帰ってから考える」

これが大阪のおばちゃんたちの答え。

 

「タダより怖いものはない」

「なんか裏があるんじゃないか」

「なんかガッツくのがみっともない」

これが青森のおばちゃんたちの答え。

 

僕はこの実験を見て、そりゃそうだろうと思った。

 

僕も東北人なので、青森のおばちゃんたちの気持ちが良く分かる。

 

誤解があるといけないので言っておくけど、僕はなにも大阪のおばちゃんをディスりたい訳じゃないからね。

 

場所が変われば文化も変わるってことを言いたいの。

 

この実験は、僕らマーケティングに関わるライターにとって重要なことを教えてくれている。

 

例えばお惣菜店のチラシがあって、そのオファーが「無料」だった場合、、、

大阪のおばちゃんたちは飛びつくだろう。
勝手に宣伝までしてくれるかもしれない。

 

一方、青森のおばちゃんだったらどうだろう?

きっと違う結果になるんじゃないだろうか?

たぶん青森のおばちゃんを集めるなら、オファーは無料より半額の方が反応が良いと思う。

もし同じ無料オファーで青森のおばちゃんに来てもらうなら、無料であることの「正当な理由」をしっかりと書く必要があるだろう。

 

地域性のあるビジネスでは、この県民性によるオファーの受け取り方の差は顕著に出る。

もし自分の知らない地域のクライアントができたら、このことを覚えておくと何かの役に立つかもしれない。

 

新規客をチラシで集める場合も、オファーは重要な要素の一つ。

 

「弱いオファーをコピーでカバーできないが、弱いコピーはオファーでカバーできる」

これはセールスライターにとって常識だよね。

 

でも忘れてはいけないのが、僕らが相手をしているのは「生身の人間」だということ。

 

ともすれば僕らは、学んだ理論や小手先のテクニックで何とかしようと考えがちだけど、そのコピーを届ける人、つまり「ペルソナ」次第で正解は変わるんだよね。

だからリサーチをしっかりして、相手に刺さるように考えて工夫することも、僕らの仕事の一部。

リサーチって調べることいっぱいで大変だけど、自分の中に新たな知識が増えていくっていう面白味もあったりするから、楽しみながらやってみると良いと思うよ。

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