穴があったら入りたい…

From:昌子 幹

これは、先日訪れた京都の西芳寺の写真。

庭園が120種類もの苔で覆われていることから
通称「苔寺」とも呼ばれています。

家から歩いていける距離にあり
一度は行ってみたいと思っていたものの
ハガキでの事前予約制ということもあり
ずっと行かずじまいでした。

が、遂にこの度、
念願叶って行ってきました。

もちろん、庭園を散策することが
一番の楽しみだったのですが、
もうひとつ楽しみにしていたのが
「写経」です。

僕たちセールスコピーライターにとって
写経と言えば、ヒットしたセールスレターを
手書きで書き写すことですが、

本来の写経はもちろん
お経を書き写すこと。

そして、苔寺では
写経をしてから拝観するのが
基本的なルールなのです。

「コピーライターとして一度は
本当の写経を経験しておかねば」

なんて理由ではもちろんないのですが、
とにかくやってみたかったのです。

が、しかし、、、

まさか、写経をすることで
完膚なきまでに
打ちのめされることになろうとは
思ってもみませんでした。

というのも、
自分の字が想像以上に
下手なことに気づかされたのです。。

実は、写経と言っても
まっさらの半紙に書くわけではなく、
薄く印刷されている文字を
筆ペンでなぞるだけ。

「楽勝だな」
と高を括っていたのですが
実際に描いてみると
これが全然うまく書けない。。

どんなに集中しても
印刷された文字からはみ出すし
線はひょろひょろになるしで、

いわゆる「ミミズが這ったような字」
しか書けずだんだんイライラしてきました。

しかも、隣の妻の写経を覗き込むと
キレイに書けているではないですか。

「なぜだ!?」

もはや平常心どころか
煩悩の塊と化した僕の字は
さらに歪み始めました。

それでもなんとか書き上げ
最後に祭壇に納めたのですが
いやでも他の参拝者の写経が
目に入ります。

そして、みんながみんな
僕より上手に書けている。。

「あ、穴があったら入りたい…」

僕は自分の写経を納めることが
恥ずかしくてたまりませんでした。

そして、その後で
庭園を散策したのですが
頭の中は写経のことでいっぱいです。

自分の字があまり美しくないということは
以前から薄々とは気づいていましたし、
友達に笑われたこともあります。

なので、ペン字を学ぶ通信講座の
資料を請求したこともあるのですが、
結局、実行までには至りませんでした。

というのも、基本的に僕は、
コピーを書くまでの
企画とかストーリーボードは
手書きで書くのですが、
コピーを書くときはパソコンです。

なので、自分の字を誰かに
見られるわけではないので
「ま、いっか」と思っていたのです。

ですが、今日ほど
自分の字が恥ずかしいと
思ったことはありません。

「仮にも文章で人に何かを伝えることを
仕事にしている者の字が
汚いなんて恥ずべきことだ」

というわけで、その足で
写経用紙と「美文字練習帳」なる
教本を買いに走り、

それ以来、ほぼ毎日欠かさず
写経とペン字の練習をしています。

さて、、、

お気づきとは思いますが、
僕は別に「本当の写経とは何か?」
という話をしたかったわけではありませんw

「キレイな字を書きたい」
と思いつつも行動に移せなかった僕が
なぜ、重い腰を上げたのか?

それは、「羞恥心」という
心理トリガーが働いたからです。

コピーライティングでは
様々な心理トリガーが使われますが
その中でも強力なトリガーの
一つがこの羞恥心です。

要は「恥ずかしい思いをしたくない」
という欲求に訴えるわけですが
重要だけどさほど緊急性が高くない商品を
販売する時に僕はこのトリガーをよく使います。

今回の「美文字練習帳」なんかも
それに当たります。

「キレイな字を書きたい」
という欲求はもともとあったものの
「書けたらいいな」くらいのレベルであって、

今すぐなんとかしなければならない
なんてものではありませんでした。

ところが、

「汚い字を人に見られて
恥ずかしい思いをしたくない」

という欲求が刺激されたことで
一気に緊急性が高まり
美文字練習帳を買いに走ったわけです。

どちらも欲求であることに
違いはありませんが、

「キレイな字を書きたい」は
ポジティブな欲求で、

「恥ずかしい思いをしたくない」は
ネガティブな欲求です。

そして、ネガティブな欲求は
ポジティブな欲求よりも
常に緊急性が高いのです。

もちろん、羞恥心と一口に言っても
そのトリガーを引き起こす欲求には
様々なものがあります。

・バカにされたくない
・失敗したと思われたくない
・間違いたくない

などなど色々ありますが、
羞恥心の心理トリガーを
探すときのポイントは

ペルソナはどんな時に
「ここに穴があったら入りたい」
と思うほど恥ずかしいと思うのか?

それをリサーチしていくことです。

参考になれば幸いです。

それでは、また。

 

昌子 幹