from 成澤将士
ライティングにおいてリサーチがどれだけ重要かは、きっとあなたも十分理解していると思う。
リサーチが足りない状態でライティングをするなんて、食材が揃ってないのに料理を作るようなもの。
どれだけ天才的な腕を持った職人でも、ジャガイモとお肉がない状態では、肉じゃがは作れない。
ライティングも、書くための材料を集める必要があり、それがリサーチだよね。
なので、リサーチが足りてないと、材料が揃ってないから中身の薄い残念なレターになる。
ところが逆に、真面目に多くのリサーチをすればするほど、書いたレターがおかしくなるケースが2つある。
どういうことかというと、例えば自分の知らない業界や商品のライティングをする場合、リサーチを重ねることで、最初はよく知らなかった商品や業界のことに、どんどん詳しくなっていく。
そうすると、新たな発見とかもどんどん増えて、言いたい(書きたい)こともどんどん増えてくる。
そしてその結果、レターの大筋には入れなくても良いものまで入れてしまうんだよね。
例えるならば、肉じゃがを作るのに、冷蔵庫にあったからってソースや生クリームや塩辛やキムチを入れちゃうようなもの。
きっと超マズイと思う。やったことないから分からないけど。
もしかしたら奇跡的な化学反応が起きて美味しくなる可能性はゼロじゃないけど、それはもはや肉じゃがじゃないよね。
これと同じことが、ライティングでも起きる。
いろんな要素を詰め込みすぎて、話が右往左往して読みづらくなったり、相反することを言っちゃってるのにそれに気づかなかったり、無駄に話が長くなったりとかで、収拾がつかなくなるんだよね。
まずはこれが1つめのパターン。
そしてもう1つは、
リサーチを重ねて自分が「賢くなった」ことで、理論展開が雑になるパターン。
例えるならば、料理番組で食材紹介をしたあと、調理工程をすっ飛ばして完成品を見せられるようなもの。
「え、その途中の工程が知りたいんですけど?」ってなるよね。
これと同じで、読み手側は書き手側よりも知識がないのは当たり前なのに、その前提を忘れてしまって、知識レベルが上がった自分の目線で、「そんなことは分かってるでしょ」的な感じで、途中の説明をすっ飛ばしちゃう場合がある。
そうすると、なんだか上から目線の圧が強いレターになったり、難しくてよく分からない論文っぽいレターになってしまう。
ちなみにこの2つのケースは、真面目で勉強熱心な人ほど陥りやすい。
そしてこれの解決法はすごくシンプルで、「ペルソナに合わせる」という感覚を忘れないこと。
このペルソナだったら、この話は刺さらないだろうから削ろうかな?
このペルソナだったら、この説明じゃ理解できないかもだからもう少し詳しく書こうかな?
こんな感じで、常にペルソナに向かって書くだけ。
書き手のエゴはゴミ箱に捨てて、見えないけど目の前にいるペルソナに伝えるように書くのが大事。
これは当たり前のことだし、ちょっとでも勉強した人なら誰でも知ってることなんだけど、いざやってみると、意外とできないもんなんだよね。
集中して書いてるときは自分のテンションも上がってるし、調整しながら書くのは難しいもの。
なので、このあたりの温度感っていうか、ギャップの調整をすることが、ライティング後の編集で一番気をつけるポイントだったりする。
だから編集は、書いた直後にやっちゃダメなんだよね。
テストの見直しと一緒で、達成感に包まれたままの見直しほど「見落とし」があるものだから(笑)