比喩の間違った使い方

from 成澤将士

 

セールスレターを読みやすく、分かりやすくするテクニックに「比喩」がある。

比喩とは、分かりやすく言えば「たとえ話」のこと。

 

「YouTubeはタダで買える宝くじ」

「300回キスしても落ちないリップ」

「うつ病は『脳みその肉離れ』」

 

これはネットで見つけて上手いなあって思ったやつの一例。

ちなみにyoutubeの比喩は芸人のヒロシの名言。

 

そしてこの比喩は、過去多くの格言にも用いられてきた。

「人生とは自転車のようなものだ。
倒れないようにするには走らなければならない。」

「幸運の女神には前髪しかない」

「チャンスは貯金できない」

 

比喩は、今風に言うと「パワーワード」に近いものだろう。

 

この比喩があるのとないのでは、読み手が理解するまでの時間が圧倒的に違う。

 

特に、これまでなかったような商品だと、イメージがしずらいからどうしても説明が長くて小難しくなってしまう。

 

その結果、「meメッセージ」満載の一方的でつまらないレターが完成してしまうのだ。

 

実際、読んでいてつまらないなあと思うレターは、ただ事実を一方的に話しているだけのものが多い。

 

使える部分には、意識的に比喩を使う癖をつけていくと、スキルアップにも繋がるんじゃないかな。

 

 

それで今日話したいのは、比喩を使う時にも、正しい使い方があるってこと。

逆に言うと、間違って使っちゃってるのに気づいていない人がいる。

 

 

これはちょっと前に、ある本のセールスレターをレビューした時の話なんだけど、、、

 

その本は、アメリカ人の有名な起業家が書いたものを和訳した本で、俗にいう「起業本」だった。

 

んで、そのレターの中で

「起業して成功するするのは、レーシングカーを組み立てるくらい簡単です」と書いてあった。

 

なので僕は「レーシングカーは適切ではない」と伝えたんだけど、彼は「レーシングカーは著者が本の中で言っていることです。何がダメなんですか?」と食い下がった。

 

実は、このやり取りには、僕には見えているけど、彼には見えてない致命的なものがある。

それは何か?

あなたは何だと思う?

 

 

見えてないもの、、、それは「背景情報」だ。

 

 

なぜ、著者はレーシングカーを比喩に使ったのか?その意図は何なのか?

それを理解した上で、その表現を切り取り引用したのか?ということ。

 

アメリカと日本では、モータースポーツに対する理解が全く違う。

日本でカーレースと言ったら、一般人はF1くらいしか知らないだろう。

 

一方アメリカは、100年以上前から現在まで続いている世界3大レースに数えられるレースもある。

 

しかもそのレースは毎年40万人もの人が観戦に訪れる世界最大規模のスポーツイベントであり、優勝者は未来永劫ヒーローとして崇められる。
そしてそんなレースで2度の優勝を飾っている佐藤琢磨選手はマジで凄い。

 

ちなみに、ディズニーの大ヒットアニメ映画のカーズはこのレースを題材にしたもの。

 

さらに、ドラックレースやモンスターマシンのイベントには大きなスポンサーが付き、全米で人気の視聴コンテンツ。

 

つまり、アメリカではカーレースは生活の中に当たり前にあるもので、文化の1つだということ。

 

なぜ、著者が比喩の対象としてレーシングカーを選んだのか?

それは、原書の読者がアメリカ人だから。
その比喩ならば、彼らにも分かりやすく伝わるだろうと考えたからだ。

 

分かりやすく言うと、「レーシングカーはパーツを順に組み上げて作るものだ」という価値観(常識)がアメリカ人にはあるということ。

だから、「起業も同じように順番に組み立てていけば失敗しない」と暗喩しているわけ。

 

一方日本人に「レーシングカーを組み上げることは簡単なことだ」という常識がある人はどれくらいいるだろうか?

 

よくリサーチで「ペルソナのビリーフ(信じているもの)を調べよう」って言われるのは、こういうことがあるから。

 

比喩は話を分かりやすくするために重要なテクニックの1つ。

その目的を間違えなければ、あえて書籍から引用しなくても問題ない。

 

伝えたいメッセージをペルソナに刺さるように、自分で工夫して加工して届けるのが僕らの仕事。

 

というか、書いてあることをパクるだけなら誰でもできる。

そうやって劣化したコピーを書いているうちは、いつまで経っても成長しない。

 

 

原典が洋モノでそれを和訳したスワイプファイルを使う時なんかも、今日の話を思い出してほしい。

アメリカ人だから刺さる表現であって、日本人にはピンと来ないなんてザラにある。

 

「もう限界、気が狂いそう」

超有名なフレーズだけど、本当にあなたは「もう限界、気が狂いそう」って人生で一回でも言ったことある?

「もう限界、気が狂いそう」って叫んで頭を掻きむしっている人、周りに1人でもいたことある?

 

いないなら、それ書いても刺さる人もいないってことに、そろそろ気がついた方が良いと思うんだよね。

あなたはどう思う?

 

 

PS:ちなみに「もう限界、気が狂いそう」は使えないわけじゃない。そう同意せざるをえないシチュエーションを作れば良いのだ。

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